アンチョビの栄養と効能・効果は?独特の香りを活かしたおすすめの調理法
アンチョビといえば、パスタの具材として使われるなど料理のアクセントとして活躍するイメージが強い食材です。主役として食卓に乗ることはあまりないものの、その塩気がさまざまな食材とマッチして料理の味を引き立てる優れた食材です。今回はこのアンチョビについて解説していきます。
2018年07月31日更新
記事の目次
[1]アンチョビとは
アンチョビとはどんなもの?
アンチョビとは、ニシン科に属するカタクチイワシ科の小魚のことをいいますが、日本ではカタクチイワシといえばダシを取る際に使う素材として知られています。
日本でアンチョビというと、カタクチイワシを塩漬け加工したものを指すことが多いです。これは、発酵させたカタクチイワシをオリーブに漬けて、缶詰や瓶詰めとしたイタリア発祥の保存食です。
アンチョビは本場のイタリアでは「アッチューガ」と呼びます。アンチョビの多くはフィレ状・渦巻き状のものですが、ペースト状になっているものも売られています。
また、アンチョビは発酵食品独特の旨味と香りが特徴で、コクがある味わいがあります。塩漬けされているため塩辛く、そのまま食べることはあまりなく、他の食材に混ぜたりトッピングして食べられることが多い食材です。
アンチョビとオイルサーディンの違い
・アンチョビ
アンチョビはカタクチイワシを3枚におろして、塩漬けにしてからオイルに漬けます。塩が効いているのでそれだけで食べるのは向いていません。また、アンチョビの場合は加熱処理されていません。
・オイルサーディン
オイルサーディンはカタクチイワシの頭や内臓を取って、塩水に短時間漬け込んでから油漬けにします。塩に漬け込む時間が短いので塩分はそれほど強くないため、そのままで食べるのにも向いています。
アンチョビは加熱処理されているのに対して、オイルサーディンは低温の油で火を通しています。
[2]アンチョビがもつ栄養の効果・効能
オメガ3脂肪酸(DHA・EPA)
・DHA
DHA(ドコサヘキサエン酸)は、人の身体では作り出せないオメガ3脂肪酸と呼ばれる栄養素です。オメガ3には血液をサラサラにして血流を良くする効果や、記憶力や学習能力が活性化する効果が期待できます。
・EPA
EPA(エイサコペンタエン酸)は青魚に多く含まれる成分で、アンチョビに豊富に含まれています。DHAと同じように血流を良くし、抗アレルギー作用や抗炎症作用があります。
ビタミンD
アンチョビにはビタミンDが豊富に含まれています。このビタミンDは日光に当たることにより体内で作られる成分ですが、それだけでは足りないので食べ物から摂取する必要があります。
ビタミンDはカルシウムの吸収をサポートする働きをするので、骨や歯を作るためには欠かせない栄養素です。また、免疫機能にも関わるため風邪などの病気予防に効果が期待されます。
ビタミンB2
ダイエットに必要なのは、身体に糖や脂肪を溜め込まないことです。ビタミンB2にはこの糖や脂肪の代謝を高める働きがあります。そのため、ビタミンB2を摂取することで、ダイエットのサポートに結びつくことになります。
また、ビタミンB2はタンパク質の合成に関わる栄養素です。身体を作るために大切なタンパク質を助けるビタミンB2は、成長に必要な栄養素と言えます。
ビタミンA
アンチョビには、粘膜や皮膚の健康を維持するために大切な栄養素であるビタミンAが含まれています。体内に病原菌が侵入してこようとしたとき、それを防ぐ役割をするのは粘膜です。
そのため、粘膜を正常な状態に保つことは健康を維持するために必要なことです。
また、ビタミンA台は抗酸化作用を持ち、活性酵素を取り除いてくれるため、がんの予防や老化、動脈硬化予防効果が期待できます。
カルシウム
カタクチイワシには豊富なカルシウムが含まれています。カルシウムは骨や歯を形成するために大事な栄養素です。
カルシウムは骨の中に貯蔵されていて、身体のどこかでカルシウムが不足すると骨から溶け出したカルシウムは血液に乗って不足したところへ届けられます。
骨から溶け出した分のカルシウムを補わないと骨がもろくなってしまうので、食事からカルシウムを摂取する必要があります。カルシウムを摂取しないと骨がスカスカの状態になり、骨粗しょう症を引き起こすことになってしまいます。
そうなるのを防ぐためにはカルシウムを意識して摂取することが大切なのです。アンチョビにはカルシウムの吸収をサポートする働きを持つビタミンDも含まれているので、効果的にカルシウムを取り入れることができます。
チロシン
チロシンは、うつ病の改善に効果があるといわれています。チロシンはアミノ酸の一種で、神経伝達物質であるドーパミンやアドレナリンの原料となるので、神経や脳のサポートをする成分です。
タウリン
タウリンはアミノ酸の一種で、魚介類に多く含まれている成分です。人の身体では真菌や筋肉、脳、肺などに含まれますが、体内のタウリン量の50~80%は筋肉に存在しています。
肝臓は人の身体にとって心臓と同じくらい重要だといわれています。タウリンは、その肝臓で胆汁酸の分泌や幹細胞の再生をサポートする働きを持っています。そして、細胞膜を安定化させる働きがあることが分かっています。
肝臓の働きは主に3つあり、解毒・代謝・胆汁の生成ですが、タウリンの働きでこの3つの働きをサポートすることができるため、結果的に肝機能を高める効果が期待できます。
胆汁の分泌をサポートするタウリンは、コレステロールの値を下げる働きにも関わっています。胆汁の主な成分は胆汁酸ですが、胆汁酸を生成するときにはコレステロールが必要です。
タウリンは胆汁酸と結合する性質を持っているので、タウリンが増えればその分胆汁酸の量も必要になります。必要な胆汁酸を作るためにコレステロールが減るので、このことからタウリンを摂取するとコレステロール値が下がるということに繋がるのです。
コレステロールの値が下がるということは、血中のコレステロールが下がるということですが、これが動脈硬化の予防に繋がります。血中のコレステロールや中性脂肪が増え、血管の壁にこびりつくと血管が詰まり硬くなります。
そうなってしまうと血管の柔軟性や弾力を失ってしまう状態になります。これを動脈硬化といいますが、動脈硬化になると脳梗塞や心筋梗塞を引き起こします。タウリンを摂取するとコレステロール値を下げて動脈硬化を予防することになるのです。
●参考元:ちそう、e-ヘルスネット(厚生労働省)
[3]パスタやピザ以外のアンチョビのおすすめの食べ方
絶品フライドポテト
アンチョビと冷凍食品のポテトを使っておいしいおつまみができます。
冷凍のポテトをレンジで温めるか油で揚げます。
アンチョビを粗く刻んでにんにくとバター、パセリ、塩少々を混ぜます。
これでいつも食べるポテトとはひと味違うポテトが出来上がります。お酒にも合いますので、ビールやワインのおつまみにおすすめです。
アボカドと混ぜたソース
アンチョビはアボカドと混ぜてソースにしてもおすすめです。
2人分の作り方は、アボカド半分の皮と種を取って、ボウルに入れてすりつぶし、それにレモン汁を小さじ1杯入れ混ぜます。
アンチョビペースト小さじ1杯、すりおろしニンニク小さじ1杯、オリーブオイル大さじ3杯を加えて鍋にかけます。かき混ぜながら温めて色が変わったら完成です。
野菜やパンにつけて食べるとおいしく食べられます。
アンチョビタルタルソース
アボカド1個、ゆで卵1個、玉ねぎ4分の1個、アンチョビフィレ5~6枚を細かく刻みます。
玉ねぎは水にさらし、アボカドはすりつぶしてレモン汁小さじ1杯をかけておきます。
ボウルにすべて入れて、アンチョビ缶のオイルを大さじ1~2杯を入れて塩コショウで味を整えたら完成です。
そのまま食べてもおいしいですし、揚げ物のソースにするのもおすすめです。
簡単バーニャカウダ
アンチョビを使って簡単にバーニャカウダソースを作ることができます。3~4人分のバーニャカウダソースの作り方は次の通りです。
にんにく2片をみじん切りにして、鍋にオリーブオイル大さじ2杯を入れて弱火~中火で温めます。
アンチョビを2匹ほどみじん切りにして、鍋に入れます。そこに牛乳80ccを加えてよく混ぜて一度沸騰させて火を止めます。野菜やパンをつけて食べると絶品です。
[4]アンチョビの保存方法
アンチョビは常温保存できるのか
開栓前のアンチョビは常温保管が可能ですが、一度開けると中に雑菌が入り込んでしまうので常温で保管をするのは避けましょう。どの季節でも開けてからは冷蔵庫で保管しましょう。
常温で保存すると雑菌が入るだけではなく、時間が経つと熟成がすすみ、アンチョビが溶けてしまうことがあります。そして、温度が高いと油が酸化して味が落ちてしまいます。また、湿気がある場合はカビが生えてしまうことがあります。
アンチョビの冷蔵保存方法
瓶詰めのアンチョビを冷蔵庫保存するときは、しっかり蓋を閉めて入れましょう。缶詰の場合は缶のまま保存してしまうと、缶が痛むため中身を出して密封容器に移し替えましょう。
なるべく空気に触れないように蓋を閉めて冷蔵庫の中に保存しましょう。その際、気をつけなければならないのは、オイルにアンチョビが浸かるように保存することです。
オイルからアンチョビが出てしまうと、アンチョビが干からびたりカビが生えてしまうことがあります。
もしもオイルが足りないときはオリーブオイルを足せば大丈夫です。
保存期間の目安は約1ヶ月程度です。冷蔵庫の中に入れておくとオイルが白くなって固まることがありますが、食べる前に冷蔵庫から出して少し置いておくと元に戻ります。
アンチョビの冷凍保存方法
アンチョビは冷凍庫で保管ができます。その際は、1~3枚ずつのアンチョビをラップで包み、密封できるビニール袋に入れて空気をしっかり抜いて冷凍庫に入れましょう。
食べる前に冷凍庫から出して常温で自然解凍してもいいですし、凍ったまま調理もできます。保存期間は約1ヶ月です。あまり長く冷凍庫の中に入れておくと風味が落ちてしまいます。
[5]独特の風味と旨味のアンチョビを活用しよう!
アンチョビをそのまま食べることはあまりありませんが、おすすめのレシピのように他の食材と一緒にソースにするなどすると、いつもと違った食べ方ができます。
アンチョビはイワシの優れた栄養が摂取でき、健康にも効果が期待できる食材です。適度な塩気もありますので、熱中症対策としてもいかがでしょうか。